天道流武術について


流儀名の天道流は「てんとうりゅう」と読みます。

天道流は塚原卜伝の新当流から斎藤判官伝鬼房が起こした総合武術です。江戸時代中期から下河原家が相伝して幕末に至り、明治期からは美田村家が相伝しました。この流儀は剣と薙刀に優れていたため、明治期には女子武道として採用され、その後、競技化して全国に普及しました。したがって、現在この流儀を純粋な古流として稽古をしている人たちは極めて少ないのです。

国際水月塾武術協会会長の小佐野師範は、天道流を阿部豊子先生から学びました。薙刀以外の剣・小太刀・二刀・短刀・杖・鎖鎌を学び、すべて相伝しています。

相伝系譜

開祖 斎藤判官伝鬼房
二代 斎藤法玄
三代 斎藤牛之助
四代 日夏喜左衛門重能
五代 加古利兵衛正真
六代 村上権左衛門
七代 日夏弥助能忠
八代 下河原新内恭長
九代 下河原新内一長
十代 下河原新内一致
十一代 下河原辨辯一行
十二代 下河原唯六一弘
十三代 下河原洗一霍
十四代 美田村顯教
十五代 美田村千代
十六代 西垣きん
十七代 阿部豊子
十八代 小佐野淳

十八代門下 吉元恵美

天道流の伝書


国際水月塾武術協会では天道流武術を古流として継承し、稽古しています。したがって伝授も段位の証書ではなく、伝書(巻物)で古式に則って授与されます。天道流でこの様式を守っているのは当協会のみです。伝書は全部で四巻あります。
古流の技は競うものではありません。極めるものです。

天道流杖術の稽古が本格的に始動しました

水曜夜の定例稽古に加えて、土曜日の午前中の稽古において天道流杖術の稽古ができる環境が整いました。天道流に使う杖は「杖道(全剣連)」で使うものより長く、各自の眉までの長さとなっています。中国武術の「斉眉棍」と同じ考えです。したがって各自で特注した杖を使います。「差合」と呼ばれている上下段を連続して打ち込む業が特徴です。海外支部でも多くの人たちが稽古しています。(2020年8月)

天道流の稽古道具

現在、天統流のメインとなっている武種は薙刀ですが、水月塾では薙刀は穴澤流と決めているため、天道流は薙刀以外の武種をすべて稽古しています。写真は上から杖、太刀(大)、太刀(小)、小太刀(大)、小太刀(小)、短刀、そして鎖鎌。太刀の大小は剣術で、小太刀の大小は二刀で使います。これらの道具はすべて特注によるものです。昨年、宮崎県の堀之内製作所が工場を閉鎖したため、現在、これらの武道具は製作できなくなってしまいました。不便な世の中ですね。

師範代允可

天道流武術の師範代允可状をいただきました。阿部豊子先生から伝えられている天道流も穴澤流とともに一生懸命稽古して後世に伝えていかなければなりません。これを機にさらに崇高な技の世界を目指していきたいと思います。

天道流剣術

天道流の剣術には数多くの形が伝えられています。それらの形は一見簡単そうに見えますが、そのそれぞれに深遠な理合があり、稽古は厳しさの中に楽しさを見いだすことができます。技は刃、棟、鋒、鎬を使い分け、合理的な勝ち筋を学びます。