稽古徒然
古武道の稽古と演武は、日本人のかつての生活のリズムであったハレとケの繰り返しと同じです。ハレの舞台は演武(ハレ=祭り)です。それに向けて日常は稽古(ケ=仕事・農作業
を繰り返します。武士であれば上覧演武がハレの舞台となるわけです。
現代人にはややもすると、このハレの機会が与えられない人もいるようです。ハレの日にはハレ着に身を包み、最高の演出をしたいものです。
水月塾諏訪明神社奉納演武会を終えて(R1.5.5)
稽古を重ねたつもりの待ちに待った演武でありましたが、思ったことの半分もできないまま終わりました。意識して表現しようとしているうちはまだまだなのです。見学に来ていた外国人に「本当はもっと穴澤流薙刀は優雅でエレガントなの!」と伝えたら「貴方の着物素敵です!薙刀クールで興味あるよ」と心温まる言葉をいただきました。さぁ、また稽古の始まりです。
松代藩文武学校武道会・春の演武会を終えて(R1.5.18)
松代藩文武学校武道会・春の演武会は初めての参加となりました。師範の先生方の集まる春の演武会は、秋とは違った緊張感がありますが、「いつも通りに!」と心に念じ、気負いなくできたのが良かったと思います。まぶしい新緑そよぐ、抜けるような青空のもと武道会の先生方との交流も貴重な時でした。課題をクリアしながら、また一から稽古を始めたいと思います。
写真は演武に先立って象山神社に正式参拝したときのものです。
ハンガリーセミナー(R1.7.27~28)
2019年7月のハンガリーセミナーで穴澤流薙刀と天道流杖術を指導しました。皆、真剣に学びます。穴澤流薙刀は女性二人と男性二人が参加いたしました。
日本から遠く離れ、なかなか稽古の機会に恵まれませんが、意欲は高く、稽古に臨む姿勢も素晴らしいのです。次の稽古が楽しみです。自由選択では、柔術・居合・薙刀・剣術・棒術など、それぞれが自分の学びたい武術を選び稽古できます。みんな仲が良く、夜のパーティーもまた楽しいのです。
兎月会の会旗
横浜支部の会旗を作りました。「兎月会」の兎のデザインは入れず、水月塾の会章を入れました。その両脇に【心月】の白い文字。〝月のように澄みきった明らかな心〟
「継続は力なり」、すぐに成果は現れなくとも続けることによって極めることができる古武道。明らかで迷いのない「心月」を胸に、競う技ではなく、極める技の稽古をして参ります。新会員も三名になり、気持ちも新たに稽古に取り組んでいこうと思います。
穴澤流薙刀免許皆伝拝受
11月3日、文化の日に、小佐野淳先生より、穴澤流薙刀の免許皆伝をいただきました。入門してから今までのことを思いました。今ここに皆さまのお陰でこうして在ることに深く感謝いたします。
私一人の力は一滴の水のようですが、その可能性を信じ、大海の源泉となるよう世界に向けて、穴澤流薙刀を広めていくよう努めます。
今後とも、どうぞよろしくお願いいたします
新しい会員と天道流杖術
新しい会員2名の杖を学びたいという強い希望により薙刀と並行して指導することとなりました。やりたい気持ちが一番。意欲がすべてです。会員は皆さん他流派の経験者なので、”新たな流派を稽古する時は、過去を捨てて、真っ新な気持ちで1からスタートしてください”と伝えています。皆初心に帰るので、初心者も大歓迎です。共に笑顔で、人と競うことなく、それぞれが咲き誇る花のように、唯一の自分を輝かせる稽古ができればと思います。
国際セミナー開催(R2.1.4-5)
2020年1月4、5日の両日、ブダペストで開催されたセミナーに参加いたしました。5日の自由選択では穴澤流薙刀にルーマニアとチェコの会員4名が参加いたしました。忘れていることもいくつかありましたが、しばらくするとすぐに思い出してしっかりと形ができてきました。熱心であれば、必ず上達します。人は思いの分だけ稽古をしてゆくものだから。大切なのは自らの心の持ちよう!
どうぞ、今年もよろしくお願いします。
コロナウィルスに寄せて ~人の心の持ちよう~
新型コロナですっかりペースがかわる日々ですが、それでも変わらずに稽古を続けていこうと思います。今しかできないこと、読めなかった本を開き、体捌き・素振り・手裏剣、稽古はどこでもできます。穴澤流薙刀伝書に孟子の「志は気の師なり」という言葉があります。目標を持てば気力は自然に湧いてきます。
時の気分に流されることなく、いつの時代でも〝志〟を念頭において生きていかなければならないことを伝えているのです。やったり、やらなかったり。束の間もこの志をいい加減にしないようにと尊敬する松蔭先生も仰っています。
心新たに
緩やかに滅び、生まれ変わる。人は自然の一部であり、巡り来る季節はいつでも新しい日々がやってくることを教えてくれます。武道館で武道の稽古ができなくなり、あらゆる所で自粛が求められていましたが、7月から再開となりました。
この二ヶ月半のままならない日々は、私たちに「秩序あるものはすべて無秩序の状態になっていく。だからこそ、新しい自分に生まれ変わっていくことで〝変わらない自分〟をつくることになるのだ」と教えてくれました。できないことを嘆き、不平を言わず、情報に振り回されることなく、新しいやり方を稽古にも積極的にとりいれていきたいですね。
以心伝心
10月21日、山崎氏が初段審査を行い、横浜支部二人目の有段者となりました。おめでとうございます。穴澤流薙刀は数ある古武道の中でも独特の動きをするので、習得には長い年月がかかります。この初段を足がかりとして根気よく稽古してほしいと思います。流儀の形は、文字では書き表せない〝以心伝心・不立文字〟であります。すべて先代より、師と弟子との心によって引き継がれていくものです。穴澤流薙刀「上段之事」には形のすべてが集約されています。ひたすら形を繰り返し稽古することが流儀を身につけることに通じるのです。(2020年11月2日記)
新年あけまして、おめでとうございます。
一陽来復の春、お変わりなくお過ごしのことと存じます。
松過ぎの又も光陰矢の如く 高浜虚子
今年もどうぞ宜しくお願いいたします。
令和三年初春吉日
国際水月塾武術協会
横浜支部長
吉元恵美
街は緊急事態宣言となりました。県立武道館も来月七日まで休館となるため、支部の稽古はできません。今まで当たり前だったことを、もう一度見直し、自分の中で淘汰していってほしいと思います。伝統を大切にしましょう。新しい時代を作っていくことへの不安もありますが、希望に満ちた心は変わりません。昨年末に天道流兵法「阿部派」を立ち上げました。横浜支部もこれに倣います。会員の一人として誇らしい気持ちです。
世界中が不安を抱えての日々ですが、ご家族の皆さまお揃いでどうぞ穏やかに新春をお過ごしください。(令和3/1/9記)
穴澤天神社に穴澤流薙刀奉納演武
今日は霰が降っています。まだまだ寒い日が続く一月末、 稲城にある古式ゆかしい 穴澤天神社に疫病退散を祈願しました。演武に使う江戸時代の稽古用薙刀を神前に捧げ、宮司にお祓いをしてもらいました。凛として、かつ柔らかく悠然とした空気が交互に漂うように感じた一時でした。その後穴澤流薙刀四方祓いを演武しました。四方祓いは南から朱雀刀、次に北の玄武刀、さらに東青龍刀、最後西の白虎刀と四方に向かい穴澤流薙刀の形で切り込んで場を清めます。どうか、この閉塞した世の中の空気が穏やかな日常となりますように。折しも、雨が降り曇っていた空が急に晴れ、明るい空が広がりました。もうすぐ立春、稽古にもよい季節ですね。
(令和3/1/28記)
春の武術演武会
5月26日、信州松代藩文武学校で開催された武術演武会に参加いたしました。この春、三年ぶりの藩校での開催に、その場にいると胸が熱くなりました。六連銭に囲まれて穴澤流薙刀五本、天道流小太刀三本を演武いたしました。穴澤流は女性ならではの優雅さと男性のように豪快な十字による斬りの緩急が見せ所です。これを見事に演武するためには線をしっかりと出すことが必要で、天道流小太刀も刀に負けない気攻めがなければいけません。しかし、納得のいく演武はできませんでした。技を間違えずに演武することと、人が感動する演武をすることでは次元が全く違います。簡単なことは何もないのです。一生を修行としていかなければなりません。(令和3/6/1)
天道流杖鎖鎌の免許をいただきました。
小佐野先生より阿部派天道流杖鎖鎌免許をいただきました。この日が来るまでにはたくさんの稽古の積み重ねがありました。ご指導いただいた小佐野先生には感謝の気持ちで一杯です。先生より免許の巻物と一緒にいただいた色紙には次の対句がありました。
直透万重関
不住青霄裡
万重の関とは、十重二十重の厳しい難関のこと。この難関を乗り越え、透過することは悟りを開くことを意味します。そこは青霄裡で雲一つない大空が広がる清々しく尊い世界です。しかし、いかに尊い境地であっても、その青霄裡に留まっていてはならないという教訓です。免許を受けたその日から、更なる稽古が始まるのです。精進を重ね、天道流の素晴らしさを伝えられるようにしていきたいと思います。(令和3.7.6)
新年あけましておめでとうございます。
松樹千年翠
華やかな美しさではない、いつ見ても緑々とした松のように力強く、生き生きとした生命力を湛え、今年も今まで通り未来に向かい、目立たない変化を大切にして稽古に邁進いたします。
日々変転、無常の世の中でも命の輝きを感じる、そんな瞬間が日々にありますように。共に頑張りましょう!!今年もどうぞ宜しくお願いいたします。
令和四年初春吉日
ただしく見ること
ぽったりとしていて柔らかく、小さな葉とともに幾重にも重なる花びらを共に楽しめる八重桜が私は好きです。毎春この桜に出合うと今年もどのような武道の一年になるかと期待が膨らみます。混乱する世の中でも武道をすることにより、正しく物事を見ることができます。正しく物事を見る訓練は毎日の稽古の中でもできます。無心になり、小さな気づきにも心を留めて行こうと思います。世界中が慈愛に満ち、お互いを思いやって暮らしていけるようにと願わずにはいられません。
令和四年卯月吉日
諏訪神社奉納演武
富士山北口諏訪神社拝殿前にて令和四年五月五日、国際水月塾武術協会の奉納演武会が催されました。横浜支部からは支部長が参加し、天道流兵法短刀・穴澤流薙刀・日本柔術を演武しました。三年振りの演武は嬉しさと少しの緊張が入り混じり、終わった後は反省しきりでしたが、次こそは!と明日への稽古に繋ぐ希望への気持ちに変わっていきました。コロナ禍に負けない武道の魅力は素晴らしいと思います。続けることが一番大切ですね!
松代演武会
晴天の5月22日、松代藩文武学校武道会・春の演武会が、本年は上覧演武会となり、文武学校槍術所で開催されました。今年は初代藩主真田信之公松代入部400年記念に当たり、真田家第14代当主幸俊公ご見分の下、穴澤流薙刀と天道流短刀を演武しました。このような経験をさせていただき心より感謝いたします。毎回演武が終わると美味しい現地の食事を頂きながら反省会をしますが、これもまた、武道での旅の楽しみですね!!
奉納額献額記念演武会
富士吉田市天神社で奉納献額式と演武を行いました。神事は厳かで、それは貴重な体験でした。横浜支部は甲陽水月流柔術と天道流杖術連続技、穴澤流薙刀を演武しました。奉納額を献ずるにあたり、神主が祝詞を唱えている時、今まで意識になかった武道への思い、様々なイメージが心の中に深く感じました。この日の演武はかつてない特別なものとなりました。今後とも稽古に励み、少しでもこの思いに近づきたいと思います。小佐野先生ありがとうございました。
薙刀昇段
8月に横浜支部会員2名が穴澤流薙刀二段に昇段いたしました。おめでとうございます。入会してからの日々は、コロナ禍により思うように稽古ができないこともありましたが、薙刀の形を覚え、毎週稽古に励み、演武にも参加しました。今後は自分の中でしっかりと技を練り、新庄藩伝穴澤流薙刀をより正しく表現できるようそれぞれが稽古して欲しいと願います。なお、神奈川県立武道館は9月から改築のためしばらく閉館いたします。10月からは横浜武道館で稽古をいたしますのでどうぞ、よろしくお願いいたします。
横浜武道館での稽古がはじまりました。県立武道館が改築中のため、来年末まで横浜武道館での稽古となります。今週末には本部での合同稽古や松代での演武会の稽古もあり、本番さながらの稽古を繰り返し、穴澤流薙刀が少しでも穴澤流らしくなるよう熱心に稽古しました。新しい場所での稽古は新たな気持ちで一から始められるような良さがありますね。私たち横浜支部一同も心新たに稽古に励みます。皆さまも一緒に稽古しませんか。やる気がすべての古武道では経験は問いません。参加をお待ちしています。
『稽古とは、一よりならい十を知り、十よりかえる、もとのその一』【千利休】
(R4.10.7)
謹賀新年 今年もよろしくお願いします。
2022年の最後はルーマニアから念願のセミナーが再開いたしました。クリスマスはルーマニア、新年はドイツでヨーロッパの水月塾会員と共に時を過ごしました。ルーマニア支部は参加者に女性が多く、居合、柔術、そして穴澤流薙刀を女性会員2名が熱心に稽古しました。暖かい大きなファミリーのようなルーマニア支部が大好きになりました。たくさんの時間を共にした支部長のキャラバン夫妻に深く感謝いたします。
ベルリンセミナーでは、柔術制定形から浅山一伝流、剣術、杖、穴澤流薙刀、居合とそれぞれが自分の選んだ武道を真剣に学びました。薙刀は教本のみで稽古をしていたとは思えないほどレベルが高く、これからが楽しみとなりました。日本では忘れられがちな真摯に学ぶ姿勢がベルリンにはしっかりとありました。繰り返し稽古することの大切さ、新しいことに常に挑戦する姿勢の素晴らしさを改めて認識した貴重な2日間でした。支部長のマルクス氏に深く感謝の意を伝えます。
学び
ヨーロッパでは毎回、日本にいては気付かない学びがあります。それはとても貴重な体験であり、文化交流を通じてお互いを大切に思う心が育ちます。コロナ禍を超え、いよいよ春には日本で水月塾40周年の記念行事もあります。国際水月塾に相応しい大会となりますよう海外会員の活躍を期待しています。(R5.1)
40周年演武会
水月塾設立四十周年の記念演武会が三月二十六日に開催されました。そのための通し稽古を前日の午前に行いました。私は薙刀の演武に出場するルーマニア会員二名に着物や袴の着付けから、襷の掛け方などを覚えてもらうべく奮闘しました。当日は午前中にリハーサルをして、薙刀を繰り返し稽古しました。演武会は前半に甲陽水月流柔術が、後半に古武道が演武されました。穴澤流の演武ではお互いの感覚が合うように演じました。今回の演武を通して、穴澤流はヨーロッパでもきっと武道愛好者たちの憧れになるであろうと確信しました。私は水月塾の一員として武道ができることをとても幸せに思います。(R5.4)
大会表彰
武術功労賞を小佐野塾長よりいただき、今までいただいた賞状と一緒に並べました。横浜支部長としての活動、水月塾での穴澤流や天道流、柔術の演武、年二回行われる欧州セミナーへの参加、国際部指導員としての活動などが認められたのだと思います。塾長や会員皆様のお陰でここまで来れたことに深く感謝いたします。水月塾での活動を鑑み、たくさんの賞状に囲まれて、これからも日本のみならず、世界中に出かけ武術の普及活動と指導に努めようと心新たに決意しました。(R5.4)
諏訪神社奉納演武
富士山北口諏訪神社拝殿前にて五月五日、国際水月塾武術協会の奉納演武に参加しました。穴澤流薙刀、水月塾制定形日本柔術、天道流剣術を演武しました。コロナ禍も明けて今年はたくさんの参拝客が見学してたので、演武が白熱しました。演武が終わると、次にはもっと上手くできるようにと次の松代文武学校演武会に心馳せます。演武会が楽しくなるには稽古あるのみ!!ハレの舞台で今年も頑張りましょう。(R5.5.5)
松代藩文武学校武道会演武
5月28日、松代藩文武学校武道会の春の演武会に参加しました。横浜支部からは穴澤流薙刀で山崎二段が演武しました。さらに今回は、無双直伝流の和(柔術)を小佐野先生と演武させていただきました。天道流剣術は「七段之武」を初めて演武し、穴澤流では大会でうまくいかなかった形に再挑戦しました。毎回演武が終われば、もう一度すぐ演武をしたい!と言う気持ちになります。さらに良い演武がしたいからです。この感覚や体験なくして試合のない古流の上達はありません。(R5.5.28)
ハンガリーセミナー
ハンガリーセミナーは三年半ぶりです。今回も柔術の初心者と穴澤流薙刀、及び天道流の杖をヨーロッパ会員に伝え、ともに学びました。薙刀は若いハンガリーの会員が二名体験できたことは意義深いことでした。セミナーは三日間ありましたが、終了後は、ワインの産地トカイを訪れました。また経由地のイスタンブールでもトルコの美しいジャーミィに心洗われ、また異文化をお互い理解できれば世界も平和になるのだと心より祈りました。(R5.8.26)